犯罪行為のお話。
〇〇君は、しっかり生きるのは嫌だった。
アウトローというか、若い頃はブイブイ言わせて、所謂不良であった。
で、成年になってからも、半グレであった。
当然、犯罪行為に手を染めまくった。
結果、未成年の時からシャバと刑務所の往来に終始した。
気付けば、年齢は既に50歳になっていた。
ここまでの人生の四分の三を刑務所で過ごしていた。
いや、五分の四かもしれない。
とにかく、刑務所に居るのが当然の生活であった。
刑務作業も、彼には何ら響かなかった。
なぜなら犯罪者の間では、刑務作業のような単調な作業で、時の流れを加速させるように体感する術を体得しているからだ。
そう、まるで自身が機械の一部になったかの如くの心境に至り、黙々と自動的に手脚を動かすだけで、時が経過して行った。
この術は優れていた。
故に刑務所で過ごす時間はあっという間に過ぎ去る時間感覚となった。
が、シャバにいる時間も、刑務所にいる時間も、同じ時間である。
竜宮城みたいに時の流れが異なる空間ではないのだから。
いつの間にか、〇〇は、介護をされる身になっていた。
〇〇はシャバに出た後も、また直ぐに犯罪行為をして、刑務所に戻ってきた。
最早、刑務所に戻ることは日課というか、義務のように思えていた。
六十代頃までは、自身よりも年上の者の介護を担当することもあった。
が、流石に七十代後半ともなると、もうヨボヨボになってしまっていた。
今度は自身が介護される身になった。
あともう少しで、灰になるだろう。
こいつの人生は一体何だったのか。
税金を食い潰すだけであった。
服役=人生、で終了。
もっとまっとうに生きれば、色々な可能性があったのにね。
自身の可能性を潰したのは、自分自身であった。
Ω\ζ°)チーン