ある人は、癌になる生活を続けていた。
毎日、重たい煙草、タールが10mg以上含まれているような煙草を、毎日二箱吸っていた。
愛煙家といえば、愛妻家とか愛猫家というように聞こえはいいが、実際には自分や周囲の人の体内を徹底的に癌化させている馬鹿である。
しかも壁にもヤニがべっとりと付着しているという徹底ぶり。
しかもこの人物は野菜類を殆ど食べなかった。いつも肉類ばかり、それも加工肉が殆どであった。
しかも運動は殆どしない。エスカレーターやエレベーターばかり使用して、階段程度も使うことは滅多になかった。
しかも食事は、毎日たらふく食う。
腹八分目どころか、胃から口の方に食物が溢れて来るが如く、いつも満腹を超過するほど、飲み食いするのであった。
そのせいで腹はでっぷりと肥え、腹の中に、まるで太鼓が入っているかの如く、ぶくぶくと腹が突き出ていた。
当然、医師には、その怠惰な生活を改めるように厳しく指導が入っていたが、本人は上の空で、全く聞く耳を持たなかった。
結果、数年後、やはり癌が発生した。
癌発生後、本人の体重はみるみる減少していった。
頬は痩せこけ、まるで体の栄養を他の生物に引き剥がされているようだった。
だが、それでも本人は癌の治療に真剣に取り組まなかった。
本人は食いたいものを食い、飲みたいものを飲み続けた。
砂糖たっぷりのコーラや、カロリーとアルコールたっぷりの酒などだ。
その結果、ますます癌化は進んだ。
最早、余命いくばくもない。
ま、自業自得だった。
医療費は、遺族が支払うことになった。
本人は、あとは死ぬだけだ。
遺族は数百万円にも及ぶ、不摂生を貫き通した馬鹿の尻ぬぐいをする羽目になった。
だが、遺族は相続放棄をした。
こいつは死ぬまでカスだった。
病院に損害を与え、国に損害を与え、地方自治体に損害を与え、家族に損害を与えた。
これは【故意】である。
未必の故意という言葉の意味は、癌になる生活を送っている者にも適用可能なのでしょうか?
こいつ自身が癌がったというオチ。