不気味に読む物語
ニコラス・スパークスクス
闇を抱えた人生というのは、案外、珍しくは無いのかもしれいな。
何を隠そう、私も闇を抱えている一人だ。それはこういうことだ。
私は過去に自暴自棄になったことがある。まあ、これは秘密だがね。
誰にもバレてはいない秘密さ。だがこの秘密こそが、私の人生の根幹を成しているのだ。
私は過去に自暴自棄になり、火をつけたことがある。そう、赤の他人のバイクにだ。
そのバイクは黒色だったが、燃え盛る炎に包まれている時には真っ赤ではないものの、青白く光っていたような、ま、時間帯は深夜だったからな。
これは犯罪の告白になるのかな?だが、私は誰も殺してはいない。
なぜあの時の自分は、あんなことをしでかしたのだろう?
自暴自棄の炎に包まれていたのは、この私であった。
あの頃の私は、生きることに辟易としていた。
嫌なことが連続して起こり、なぜかもう、何かこう、とにかく生きることに嫌気がさしていたんだ。
そんな時に、一台の黒いバイクを見つけた。
ふと、ポケットの中のガスライターを思い出し、もうどうなってもいいや、と、火をつけてしまった。
幸いにも周囲には燃え移るようなものはなかったので良かった。バイクに追加して燃やしてしまったら、多分もう、私の心は壊れていただろう。
そのバイクの持ち主には弁償しなければならないかな?いや、金が無いので無理だ。
私はどうすることも出来ない。
自暴自棄の時、自分の感情を抑えるのは、とても難しい。
破滅願望とでも言おうか、何しろ私は犯罪行為をしてしまったのだから。
そう、何の得にもならないことを。
うさ晴らしでもない、なぜあんなことをしたのか、損得勘定抜きの、何か得たいの知れない破壊衝動がもたらした、つまるところ、破滅衝動だ。
ああ、申し訳ない。
自分でも一体、なぜあんなことをしたのか、意味不明だ。
人間は心で生きる生物だ。
心とは不安定なものだ。
なぜ自暴自棄を防げなかったのか。
う~ん、難しい。
おわり